この街から
食とエンターテインメントの感動を

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伊藤 亜由美さん AYUMI ITO 株式会社クリエイティブオフィスキュー
代表取締役

株式会社クリエイティブオフィスキュー代表取締役
北海道小樽市出身
1992年2月「クリエイティブオフィスキュー」を創立以降、大泉洋らTEAM NACSが所属、個性派俳優を抱え全国へと活躍の場を広げる。また、プロデューサーとして鈴井貴之が監督を務めた映画『man-hole』や『river』、TEAM NACSの全国公演『LOOSER~失い続けてしまうアルバム』を皮切りに数多くの作品で采配を振るう。
近年は食、観光、地域産品など北海道のさまざまな魅力を全国に伝えたいという思いから、映画『しあわせのパン』(2012年)、『ぶどうのなみだ』(2014年)の企画やWebメディア等の連載を担当するなど、北海道の魅力を発信し続け、2019年初春には映画『そらのレストラン』を公開。
2012年11月にオープンしたベーカリーショップ「boulangerie coron」は現在札幌市内で4店舗展開。2015年9月には農が見えるレストランをコンセプトに「brasserie coron with LE CREUSET」(http://brasserie-coron.com/)をオープン。

頓宮の神様に見守られ、オフィスキューは誕生した。

札幌イーストエリアに拠点を置く「CREATIVE OFFICE CUE」(以下オフィスキュー)。今や全国的スターとなった森崎博之、安田顕、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真から成る演劇ユニット「TEAM NACS」をはじめ、道内外で活躍するタレントを多数抱える芸能プロダクションです。

伊藤亜由美さんはオフィスキューの社長であり、所属タレントから母とも姉とも慕われる存在。「いま思えばずっとイーストエリアにご縁がありました」と懐かしそうに思い出を語ってくれました。

伊藤さんとイーストエリアの出会いは、かつて北3条東3丁目にあったフリースペース「駅裏8号倉庫」(1986年閉館)。80年代の札幌のサブカルチャーシーンの中核だったこの場所で、演劇やライブに夢中になったそうです。その後伊藤さんとともにオフィスキューを立ち上げた鈴井貴之さん(現・会長)の劇団「OOPARTS(オーパーツ)」が公演を行った「サッポロファクトリーホール」も、1992年にオフィスキューが産声を上げたのも、すべてイーストエリアでした。「それまで勤めていた会社を辞め、退職金をはたいて借りた小さなワンルームがオフィスキューの始まりでした。お向かいが北海道神宮頓宮で、神様に見守られているような気分だったのを覚えています」。

エンターテインメントが息づくこの街で、これからも

その後オフィスキューは一時移転したものの再びイーストエリアに帰還。東京進出に拍車がかかっていた2008年、「北海道を拠点にやっていくんだと胸を張れる場所を作りたい」と、北2条東3丁目にイベントホール「cube garden」をオープンしました。

「cube garden」では年間を通してライブや演劇などが開催されており、イベントがある日は入場を待つ観客が会場の外まで列をなします。キャパはスタンディングで350名、着席で200名弱。「アーティストが観客の応援を感じられるサイズ感が大切」と伊藤さん。「アーティストがここから巣立ってさらに大きなホールを目指すためのステップになれる小屋を作りたかったんです。サカナクションも以前ここでライブをやっていたんですよ!いま活躍している姿を見るとうれしくなります」。

「cube garden」の仲通りを挟んだお隣には「サッポロファクトリーホール」、さらに東に行くと岩佐ビル(北3条東5丁目)1Fの演劇専用小劇場「BLOCH」があります。「つくづくイーストエリアはエンターテインメントにゆかりの深い土地だと感じます。今後は3つのスペースの特性を活かしながら連携を深めて、イーストエリアから新しいエンターテインメントを発信していきたいですね」。

 

北海道で人を育てたい。北海道から感動を伝えたい。

伊藤さんが力を入れているもうひとつの展開があります。それは北海道の食コンテンツのプロデュース。きっかけは伊藤さんが企画した映画『しあわせのパン』(大泉洋主演/2012年公開)でした。「映画の公開が終わっても継続して北海道の食の魅力を発信できる場を作りたい」という思いから、北海道小麦・食材にこだわるベーカリーショップ「boulangerie coron(ブーランジェリー コロン)」をオープン。伊藤さんが「感動の味」と称える東京・世田谷のベーカリー「シニフィアン シニフィエ」の志賀勝栄さんをグランシェフに迎え、北海道小麦100%・低温長時間発酵のパンを提供しています。

▲道産とうきびのリュスティック247円(税込) 外はパリッ、中はもっちりとした生地の中に道産とうきびがたっぷり。 小麦の風味ととうきびの甘みをシンプルに味わえる人気の一品。

▲kobore大納言バター270円(税込) こぼれるほどたっぷり入った大納言にバターの塩味とコクが加わり、やみつきになるおいしさ。 温めるとさらに香りが引き立ちます。※季節限定商品

▲パン・オ・ヴァン3,703円(1/2 ¥1,851 1/4 ¥926 1/8 ¥463) イチジクやクランベリー、多彩なナッツをふんだんに使用し、煮詰めた赤ワインで仕込んだ贅沢な一品。 赤ワインとのマリアージュも抜群です。※週末限定販売。本店限定商品

「コロン」のパンを手がけるのは、志賀さんの味を受け継ぐ高崎真哉シェフ。生産者と対話しながら道産食材と向き合い、そのおいしさを最大限に引き出すそのパンは、ふくよかな小麦の香りが鼻腔をくすぐり、かみしめると力強い歯ごたえと素材一つひとつの繊細な味わいが口いっぱいに広がります。

「北海道を拠点にタレントを育ててきた私たちだからこそ、志賀さんのような素晴らしい職人を北海道で育てたいと思っています。仕事のフィールドが全国になったことで改めて北海道の良さを実感しました。自慢したくなる北海道の魅力を発信する場と、次代の発信者を育てることが当面の役割かなと思っています」。

食もエンターテインメントも人が作りあげてこそ感動を呼ぶもの。伊藤さんの原点であるイーストエリアからどんな人が育ち、どんな感動が生まれていくのか、これからも目が離せません。

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