昭和22年創業、北海道生粋のお茶屋さんへ
お茶を嗜む時間というのはいいものです。一杯のお茶を飲み、心がホッとする。それは、お茶のうま味成分によりα波が出現しているからだそうです。
茶葉や淹れ方にこだわれば、お茶の味わいはもっと上品に。どこか奥ゆかしい気持ちになるのは、ほかの飲み物にはない作用ではないでしょうか。
では、日常的にお茶を嗜もうと思っても、働いている身にはハードルが高いもの。取引先で出される薄いお茶やペットボトルのお茶を口にすることはあっても、本来のお茶の味わいに出会うのは極めて稀ですよね。
ところが苗穂エリアには、正しいお茶を味わえるスポットがあるんです。
宇治園は、京都で宇治茶の製造販売をしていた初代社長が1947年函館に開設し、以後、札幌に本社を移した北海道生粋のお茶の製造販売会社。2016年、本社ビルの1Fに札幌直営店がオープンしました。
緑茶とお茶菓子の奥深い味わいにしみじみ
こちらでは浅蒸し7種・深蒸し5種の茶葉とお茶菓子が選べる緑茶セットがスタンダード。「どれがおいしいんだろう?」お茶の素人にわかるわけがありません。
宇治園営業部の佐々木亮さんにオススメを聞いてみると、「鹿児島産の『おくみどり』はいかがですか?」と言います。というわけで、おくみどりとほうじ茶アイスのセットをオーダー。
運ばれてきたおくみどりは、鮮やかな緑色、まろやかな若葉系の香りが広がります。口にしてみると、端正ながら濃厚な味わい。普段自宅で飲んでいる緑茶には絶対にない、奥行きや上品さを感じます。そして、お茶菓子のほうじ茶アイスを一口。香ばしさとほのかな甘さがたまりません!
抹茶の点て方は手首のスナップが肝心
緑茶とほうじ茶アイスでまったりしていると、「こちらでは抹茶を点てることができるんですよ」と佐々木さん。
もちろん茶道の心得もお茶を点てた経験もないわけですが、ここはトライしてみますよね。大きく深い抹茶用の茶碗に、抹茶の粉末を入れ、湯呑みに入ったお湯を注ぐ。
「初めは茶筅で底の抹茶を分解するようにゆっくり混ぜ、手首をMの字を書くようにしっかり振り、泡が出るまでかき混ぜてください」。
アドバイス通りやってみても、なかなか抹茶が泡立たない。「では」と、見かねた佐々木さんがかき混ぜると、みるみるうちに泡が立ち始めました。手首のスナップとフルスピードが違います。
「どうぞ」と差し出された抹茶は、泡がふんわり盛り上がり、見るからにまろやか。口にしてみると、苦味や渋味が一切なく、実に甘い!
佐々木さんは「作法などこだわらず、味わいを楽しんでほしいですね」と言います。
インスタ映えを狙うならプレミアムパフェ
次に出されたのは「濃厚パフェ宇治園プレミアム」。2種類の抹茶アイスと牛皮クレープ、コーンフレーク、ムース、わらび餅…などが約30cmの絶品パフェに。これはもうインスタのインパクト系ですね。
「いちばん上のプレミアム抹茶アイスには、通常の10倍の抹茶が使用されています」。
なるほど深いコクと渋みが口に広がる。こちらはパフェのインパクトに翻弄されましたが、一人でペロッと食べてしまう方が結構多いそうです。
上質な茶葉を選んで、お家で正しいお茶を
こちらのお店では、カフェでお茶やスイーツを楽しめるのはもちろん、静岡や宇治、鹿児島などの生産農家から仕入れた上質の茶葉、多彩な茶器の数々を取り揃えています。
そして直営店ならではの一品が、毎日お店で焙煎する炒りたてほうじ茶。昔ながらの直火製法で少量ずつ仕上げ、炒りたての香りと味わいを楽しめるそうです。
ときには銘茶で心静かなひとときを。そろそろ、お茶にしませんか?
(文と写真)
高崎克秋
「カゼソラ」クリエイティブディレクター&コピーライター。イーストエリアでは、苗穂が「音楽スタジオ銀座」であることに着目している。RockとRunとRakugoの「3R」をこよなく愛している。
https://www.facebook.com/katsuaki.takasaki