札幌市がん対策普及啓発キャンペーン事業
「がん」について知ろう
がんサバイバーによるトークショー開催

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10月10日(月・祝)サンピアザ 光の広場にて、
乳がん体験者である、元SKE48の矢方美紀さん、HTB社員の阿久津友紀さんを迎え、トークショーを開催いたしました。

前回の記事(矢方美紀さんのトークショー)もご覧ください。

「がん」について知ろう ~がんサバイバーによるトークショー~矢方美紀さんの場合

第2部は、MCの黒部さんの進行で、3名のクロストークショーを開催しました。

クロストーク編1はこちら

「がん」について知ろう ~がんサバイバーによるトークショー~ クロストーク編1

クロストーク編2はこちら

「がん」について知ろう ~がんサバイバーによるトークショー~ クロストーク編2

再建手術のお二人の考えについて

黒部 「先ほどもちょっとお話ありましたが、「再建手術」ということについては、お二人はどのように考えられていますか?」

阿久津 「私の場合は 迷っているというのが正直なところで、手術の前の日に再建手術ができないということになって、この後いつでも再建できるよ、って主治医の先生はおっしゃっています。
私は両胸を切除しているので、例えばインプラントという人口の乳房をいれると、両方とも同じ形になるのでとてもきれいに仕上がるんです。なのでいつでもどうぞっていってくださるんですけど、このあと2回は手術しなきゃいけないんです。1回目で皮膚を膨らませたあとに、もう一回いれかえるということで。ちょっと社会人として働きながらなかなか2回は難しいなっていう気持ちです。
でも何年か経ったらまたできる機会があるかもしれないなと思いながら常に知識をアップデートさせているところです。」

黒部 「まだ現在、決められないということですよね。」

阿久津 「諦めたくない、という感じもします。」

矢方 「私は、最初その治療法だったり、手術方法だったり、再現方法がたくさんあるので悩んで、最初は 「全摘だけをして、落ち着いた時に再建しよう」というふうに思っていたんですが、放射線治療をしたので、皮膚が伸びにくくなってしまい、中には再建をすることができない病院もあることを知りました。
その時に色々再建している人や、再建していない人を見たときに、中には、そのまま生活されている方もいることを知って、自分も切った傷が20センチくらいで結構大きいのに、その傷をもう一回切ったりするのはすごい嫌だなっていう気持ちが出てきて。
あとは再建するとなったら、その1回だけで終わらないので、そういう事を考えると、仕事にまた影響が出てしまうなって思ってしまいます。」

恋愛も、結婚も、できないことはひとつもない

矢方 「同世代の友達や異性の友達に、胸がなくなって、「もし恋愛する時に胸がないってヤバくない?」って話してたら、「ぜんぜん外見関係ないからよくない?」「胸が1個だろうが2個だろうが、好きだという人は外見を気にせずに中身を見てくれるから、それは心配しすぎだし、世の中広いから絶対にいい人はたくさんいるよ!」って言ってくれて。それが自分の中でも前向きになる引き金になっています。
「じゃあ別に今のままでいいのかな」っていう風に気持ちがどんどん変化していきましたね。
最初は両方胸がないとおかしいんじゃないか、って思っていて、バランスもおかしくなっちゃいますし、体幹がとれなくなっちゃうんですけど、そこも鍛えていけば、ちゃんと腕立てもまた前みたいにできたし、キックボクシングも一時期スポーツトレーニングでやっていたりもしたので、全然動けるぞ!って実感したら、自分の自信にもなってきましたね。」

黒部 「これから恋愛含めて、結婚、出産と、どんどん輝きを増していってほしいですね。」

阿久津  「やっぱり周りの励ましですよね。私も取材している女性の方々から一つ聞いたお話があって、胸がない シングルマザーで恋愛もできないんじゃないかっておっしゃったんですけども、「お子さんに、胸がなくてもママを好きになってくれる人はいるよ、それを今から探しに行こう」って言われたっていうんですよ!」

黒部 「え~なんて素敵なおはなし!」

阿久津  「だから乳がんになったからといって、結婚を無理だなと思う方は、元から無理なんだと思います。そうではない方で絶対いらっしゃると思うし、そういう方と一緒に今後の人生の生活を送った方が絶対自分自身の生活も豊かになるんじゃないのかな、と思うので、がんになったからといって、(恋愛や結婚を)あきらめるのだけは一番悔しいんですよね。」

黒部  「そうですね。私、みきさんのダイヤリ―で読んだ「乳がんになったからって、できないことはひとつもない」というコメント、それが心打たれたんですよねー!本当にそうですよね! 同じだよなって本当に思いました。それに響いている方って、若い世代の方が多いと思うんですよね。だからこうやって広い場所で 発信してくれると、メディアもそうですけど、こういった場所で直接お話しが聞けることが貴重ですし、とてもうれしいですよね。」

札幌のがん検診率の低さについて

阿久津 「本当ですよね。今日、「みきちゃんの話を聞きました」ってお家でぜひお話ししてほしいなと思うんですよね。
ところで、男性も乳がんになりますよ皆さん!乳腺があればだれでも乳がんになりますし、そこに差別もないですし、今、日本の方だと2人に1人ががんになる時代で、乳がんだと9人に1人なんですよね。だれにでもなる可能性があって、ご両親 ご家族の方をお子さんも含めて可能性はあるよということを知っておいていただきたいです。
ご自分の体に興味を持っていただいて検診にいっていただいたり、違和感があったらきちんと病院に行っていただくということが非常に大事だと思います。」

黒部  「どのくらいの方が検診に行っているか、ですが、札幌の検診率の低さ知っていますか?低いんですよ・・・さあ、皆さん どのくらいの方検診に行かれていますか?(挙手を求める)
乳がん検診いっていますか?どうでしょう。(手を挙げた方に問う)
若い方ですよね?20代前半10代後半かな?20代前後ですか。でもこうやってお話を聞くと検診行かなきゃなって思ってくれました?」

(手を挙げた方は頷く)

阿久津  「(黒部さんに対して)検診いかれてます?」

黒部  「私ですよね…そうなんですよ、私も5年前に検診に行ってから行ってないんです…」

阿久津  「ダメですー!」

黒部  「検診行っていますか?って皆さんに大きな口を叩けるような立場ではなく…私も本当に、検診いきます!私もこうやって話を聞いて、それでも私は大丈夫って思ってるのが一番怖いですね。私はならない、わけがない。そうみんなわけがないんですよ。」

阿久津 「なんで行かないんですか?」

黒部  「いやーそうなんですよ。これね、私も本当単純な理由で、2回行ったことあるんですけど、最後に行ったのが5年前で、マンモグラフィーがめちゃくちゃ痛かったっていう…マンモの痛さだけで、あの痛さは、もういいな、ってただそれだけです。あとは予約を取るのがなんとなく後回しにしちゃうっていう、それだけなんです。こういう話も聞いたんですが、マンモグラフィーが無理って言ってる方もいたのですが、もしも乳がんになったらもっと痛いですよね?」

矢方 「そうですね、痛いです。」

黒部 「間違いなく検診の方が痛くないに決まっているんですよ!なので私はもう今日本当に深く反省をしまして、痛くないです!マンモが痛いからって先延ばしはやめましょう!あとは、エコー検査も大事ですよね。」

阿久津 「私もマンモとエコーの検査で見つかったんですけど、札幌市の場合はマンモグラフィーの検査に、プラスエコー検査というのも補助があって、非常に見つかりやすいような体制を整えてくださっています。クリニックも非常に充実していて、受けやすい状況になっているので、受けなければいけない世代の方は確実に行っていただきたいです。お手紙が届いたら行きましょう!いうことをお伝えしたいなと思います。」

黒部 「地方自治体によってはエコー検査がついていないというところもあるんですね。それを今日聞いて、札幌市は何て優しいんだ!って思います。これにいけるんですよね。なので絶対行った方がいいですよね。」

矢方 「そうですね。あとは検診の回数じゃないなーって。月に一度、胸のセルフチェックっていうのを強制的ではないと思うんですけど、ちょっとやってみようかなって。みんなスマホとか毎日みるじゃないですか。チェックはすぐできると思うので、意識として覚えていただいて、やってみようかなとか、探してみようかなという行動につながってほしいと思います。」

黒部 「そうですね。職場などで 健康診断があるという方は少し安心だなと思うと思いますが、会社での健康診断がないという方も多いと思うんですよね。いかがですか?検診、会社ではないなーっていう方がいらっしゃったら、札幌市からせっかくお手紙が送られてきますので、40歳以上ですね、皆さんそれは最低でも。お前が言うなよって話なんですけど(笑)
私も必ず!お約束しますので、皆さん早期発見がどれほど大切だというのはこうやって話を聞くと身にしみてわかるわけですよね。今日はわかったけど、明日になったら忘れるではなく、忙しいから、休みが取れないから、土日休みだから日程が合わないんだよね、ではなく、どうしても皆さんに検診いってほしいですね。乳がんの検診だけではないんです。がん検診いうものにみなさん、行きましょうね。お約束できますか?」

(会場の方が頷いてくれる)」

矢方  「頷いてくれた♡検診の呼びかけをしてくれてるっていう方がたくさんいる中で、自分もどこかで聞いたことあるなぁとか、きっとあると思うんですよね。一つのタイミングをつくることによって安心にもつながっていくと思っているので、もしよかったら、タイミングを作っていただいて、とても皆さん日々忙しい中来てくれたと思うんですけど、この話を聞いてちょっと行く日を考えてみようかな、って思っていただけたらと思っております。」

黒部 「阿久津さんがずっと20年間乳がんの取材をしてこられて、誰よりも詳しいはずなのに、会社の健康診断で見つかったっていう話を聞くと、いつ自分がそうなるかわからないっていうことをもう一度考え直さなくてはいけないですよね。」

阿久津 「がんというものを正しく怖がっていただくのがいいのかなと思っていて、よく「検診になんでいかないんですか?」って インタビューさせていただくんですけども、行かない理由は、見つかるから怖い、見つかるのが怖いから行かないという方が非常に多いです。もちろん、マンモグラフィーが痛いから、行かない方もいるんですけど、それは、遅くなってから見つかった方がもっと怖いんです。今日はそれをお伝えしたいので覚えておいていただきたいなということと、夫も含めて家族を巻き込むことも当然なるわけです。家族のためにがんの知識を持っているということも非常に大事なことの一つなのかなと思っていて、どのように接したらいいのか、どういう検査の方法があるのか、この時はどういう治療がいいのか、を含めてご自身も救うことになるし、それを知っておくことで家族の命も救うことになるということで、皆さん言いづらいことではなくて、がんを気軽に話をしていただけるようなことになるといいな、と思いながらいろんな活動をさせていただいております。」

最後に・・・

黒部 「そうですね。本当にたくさんの話2人から伺ってまいりましたが、皆さん札幌市では令和4年1月1日の時点で20歳の方には、子宮頸がんのこの検診の無料クーポン券、そして同じく40歳の方には乳がん検診の無料クーポン券が今年の7月の上旬に発送されていました。今日の会場に20歳の方いらっしゃらないでしょうかね。届いたよ、っていう方がいたらいいなと思っていたんですが、これもすでに発送されております。健診実施場所につきましては、無料のクーポン券の方に同封されております、子宮頸がんの検診手帳、そして乳がん検診手帳にも、実施医療機関がしっかりと掲載されております。また札幌市のホームページでも確認することができます クーポン券の有効期限が令和4年3月31日までとなっておりますので、春でクーポンが使えなくなってしまいますので、届いている方が2階、3階にもいらっしゃいましたら必ず皆さんいきましょうね!(会場に呼びかける)行ってくださいね!お願いいたします。対象年齢の方は、必ず早めに受診をしていただきたいと思っております。
今日はお話を聞かせていただきありがとうございます。では最後にお一人ずつメッセージいただきたいと思いますので阿久津さんからお願いいたします。」

阿久津 「がんというものは、生きることを問い直すための病、と思っております。がんと診断されてから自分がこの後どうやって生きているっていうのをすごく考えます。でもそれって別にがんにならなくても考えて自分がどういう風に進みたいかとか、夢があるのかって考えることだと思うので 本当にそれも一部としてそれを諦めることではなくて、がんもその一部として人生の一部として進んでいきたいと思います。10月6日に、本もだしまして、紀伊国屋書店さんと デュオにもありますね。こちらの方にも置いていただいてはいるんですけれども、なんか隠れたくなかったんですよね。やっぱりね、がん患者さんと一緒にいるものを作らせていただいた本でもあるんです。がんと共に生きる時代だよ、ってことをお伝えしたい、ということだと思いますし、小中高でがん教育も始まっていますし、 がんに対して実は正しい知識も得られるお子さんの方が早いんじゃないかっていう、ちょっと期待させたいと思いますし、我々大人も含めて親世代の思い込み、みたいなことを払拭して、がんになったことを悲観することもなく、がんとともに生きていく時代になってほしいなと思っております。ありがとうございます。」

黒部 「ありがとうございます。それでは美紀さんお願いいたします」

矢方 「よくがんになるのは不摂生が一つ理由、と言われているじゃないですか。でも私ががんになった時にお酒もタバコも全くしていないのに、乳がんになっちゃったので、それって本当に関係ないと思ったし、いつ誰がなるかわかんないな、ってことを自分は体感しました。
もちろん本当にがんになる前までは、マリオみたいに2回穴に落ちても、途中から復活できるみたいなそういう人生が続くんだと思ってましたけど、もしかしたらこの病気で死んじゃうかもしれないんだって覚悟を決めました。でも人生は今後の方が長いので、また他の病気になる可能性もあります。もちろんこの乳がんっていう病気も10年、一生付き合っていかなきゃいけない病気です。
みなさんも、なるべく病気にならないために、今は大丈夫かなと思っていても、早期に見つけるために検診であったり、自分一人一人の体っていうのを今一度考える時間っていうのを作っていただけたらと思っていますし、今日お話した意味が あるなと思っています。今日は本当にありがとうございました」

黒部 「ありがとうございました。今後もお二人のこれからを注目いただきまして、どんどん身近な方に、「検診に行こう!」というふうに皆さんからもお勧めをいただきたいと思います。
たくさんのお話を伺いました。本日はありがとうございました。
先ほども皆様にご案内いたしました 札幌市では令和4年の4月1日の時点で二十歳の方には 子宮頸がんの検診無料クーポンそして 同じく40歳の方には乳がん検診の無料クーポン券が今年の7月の上旬に発送されています。届いた方はすぐに検診に行きましょう。そして私も行きます。すぐに検診に行きます。皆さん必ず早期発見を目指して、みんなで健康な人生を豊かに送ってまいりましょう。今日は皆様お付き合いいただきましてありがとうございました。」

ゲストのご紹介

元SKE48 タレント 矢方 美紀さん

1992年6月29日 大分県生まれ。7年半所属したSKE48ではチームSのリーダーを務めた。2018年4月、25歳の時にステージ2Bの乳がんにより、左乳房全摘出・リンパ節切除の手術を受ける。「自身の体を知る」ことの重要性を伝えるとともに、がんになっても夢を諦めない、前向きに生きている姿を日々発信している。

現在は、テレビやラジオ出演・ナレーション・MC・講演会などの活動に加え、子どもの頃からの夢であった声優としての活動に力をいれ活動中。

オフィシャルブログ

NHK #乳がんダイアリー

HTB東京編成業務部長・SODANE編集長 阿久津 友紀さん

1995年 北海道テレビ(HTB)入社。制作・情報番組のディレクター・記者などを経験。長年ピンクリボン活動や乳がん患者取材がライフワーク。2019年に自らも両側乳がんにり患。HTBのWEBメディア「SODANE」やYouTubeなどで自らの乳がんと生きる姿を綴っている。10月に北海道新聞社から著書「おっぱい2つとってみた ~がんと生きる、働く、伝える」発売。厚生労働省  がん対策推進協議会  委員。

阿久津さんの記事 SODANE