
開基当時の北海寺
明治初期に創成東の市街ができたことを思うと、このエリアの歴史を当時から見守り続けていた北海寺。秋には紅葉がキレイに咲く、創成イーストエリア屈指の隠れ名スポットだ。(隠れていないかもしれないが)
秋、北海寺を彩る紅葉
今から4年前の2017年、6世住職が拝命された。私はその年の夏から、隣のゲストハウスの一室で学童保育を始めたこともあり、子どもたちが毎日通る景色として日々の風景の一部となっていた。夏休みになると、約130年の歴史を持つ荘厳な本堂の中を子どもたちが縦横無尽に走り回り、太鼓を叩く、音が鳴り響く。
雑巾がけレースを楽しむ子どもたち
時には住職自ら連絡をくださり、突発的なスイカ割りがスタートする。子どもも、ゲストハウスに滞在する外国人も、一緒に日本の文化を楽しんだ。
外国人宿泊客と楽しむスイカ割り
時には、住職へみんなで質問タイム。「お寺はどんなところなの?」「地獄ってあるの?」
ひとつひとつ丁寧に答えてくれる住職に、普段走り回っている子どもたちも、足を止めて耳を傾ける。
子どもたちの質問タイム
私も、ほとんどの子どもたちも、お寺に入ること自体が初めての体験だった。今では、数ヶ月行かない日が続くと「北海寺へ行きたい!!」、4月になると、「1年生を北海寺に案内したい!」の声が轟く。子どもたちにとって北海寺は、無くてはならない存在だ。
本堂の様子
かつては「寺子屋」という文化があったように、そこは子どもたちの拠り所であり、地域の拠り所だった。お寺が地域に開かれていた時代。
地域に開かれたお寺を、今だからこそ。
北海寺では、学童保育の子どもたちだけでなく、茶道教室やヨガのレッスンなど、さまざまな方が日々利用されている。
地域の方向けヨガのレッスン風景
今年の夏には、現代版寺子屋として、地域のこどもと大人が集まるサードプレイスも始動予定だ。令和の時代の今だからこそ、地域に、たくさんの人に必要とされる北海寺。札幌の中心、大通から川を越えたすぐそこ、創成東地区にそんなお寺があるのだ。
都会の中に感じる、確かな地域の暖かさ。
大晦日。観光客や地元住民たちが除夜の鐘を叩く。北海寺の梵鐘は、かつて音色が日本一という報道もあったとのこと。今日も明日も、鐘の音色は創成東を見守り続けている。
(文と写真)
日向洋喜
NPO法人E-LINK代表理事。札幌出身。28歳。2017年より創成イーストエリアで学童保育を中心とした教育事業を行っている。大人と子どもたちがつながり合う地域を目指す中で、創成イーストエリアで過ごすたくさんの人たちの暖かさに触れながら日々を過ごしています。